
著しい高血糖を放っておくと、糖尿病昏睡という状態に陥り、命にかかわる危険な状態になるおそれがあります。糖尿病昏睡には以下の2つのタイプがあります。
ケトアシドーシス
- インスリンの作用が極度に不足するために高血糖(≧250mg/dl)、尿中ケトン体が陽性になり、身体が酸性になってしまう状態(アシドーシス)
- 1型糖尿病でインスリン注射を中止した場合は、急激に発症することがあるので注意が必要
高血糖高浸透圧昏睡
- 著しい高血糖(≧600mg/dl)と脱水を引き起こした状態
- アシドーシス(血糖が高く身体が酸性になってしまう状態)は無いか、軽い
- 2型糖尿病の高齢者に多い
- 感染や脱水などがきっかけで起こる

血糖値が高くなると(約170mg/dl以上)、身体は血液中に過剰になった糖を尿と共に排出しようとします。血糖値がさらに高くなると、尿の量も多くなり、身体に必要な水分が失われるため、次のような症状が現れます。
高血糖(脱水)症状
- 異常にのどが渇く
- 尿が多くなる、頻回になる
- 脱力感、疲労感
- 体重が減る
ケトアシドーシスの場合、さらに・・・
- 尿検査でケトン体陽性
- 吐き気
- 上腹部の痛み
- 口臭(アセトン臭)
- 進行すれば意識障害

血糖値は、体内にインスリンが無いか足りない場合、または、インスリンが効きにくくなった場合に高くなります。
高血糖の誘因
- 経口血糖降下薬またはインスリンが足りない
- 食べすぎた
- 感染症など、なんらかの病気にかかっているとき
- 大きな手術の後
- ストレス
- 運動不足
- 注射薬(インスリン)の効力が低下している(期限切れ、変性等)
- インスリン注射手技が適切でない
- インスリン注射を中断した

糖尿病昏睡を予防するためには、糖尿病昏睡になる前の段階で、適切に対処することが大切です。高血糖症状に気づいたら、次のことを行いましょう。
高血糖症状があるとき
お水かお茶を多めに摂る。
血糖値を測る。いつもより血糖値が高い場合は、3~4時間後にもう一度測る。
継続的に血糖値が高い場合は、医療機関に相談する。
尿検査キットが手元にあれば、尿中ケトン体を測る。ケトンが陽性の場合は、医療機関に相談する。
感染症など、なんらかの病気によって血糖値が高くなっていると思われる場合は、早めに医療機関に相談する。

- 体調を崩しているときは血糖値が高くなりやすく、特に1型糖尿病患者さんの場合は、高血糖症状が出てから急速にケトアシドーシスに進行するおそれがあります。食欲がないからといって、食事を抜いたり、インスリンを中断することは、とても危険です。
- 高齢の患者さんの場合は、高血糖に伴う脱水症状を感じにくいことがあり、気づかないうちに昏睡に陥るおそれがあります。特に体調を崩したときは、水分をなるべく摂るように心がけましょう。
体調がすぐれず、食事や飲水が困難な場合、なるべく早めに医療機関を受診しましょう。また、あらかじめ体調不良時の注意事項や血糖値がどのくらい高かったら医療機関に連絡すべきなのかかかりつけの医師に確認をしておきましょう。